
【比較】Excelをリアルタイムで同時編集する方法
共有フォルダなででExcelファイルを使用している時に
「誰かがファイルを開いていて、編集できない」
「メール添付を繰り返し、どれが最新版かわからなくなった…」
このような悩みを抱えたことはありませんか?
そんなExcelを複数人で同時作業する方法を紹介します。
メリット・デメリットを比較して、業務にあった方法を検討してみてください。
同時編集する代表的な方法
① Microsoft 365の共同編集 | ② 共有ブック (非推奨) | ③ Accessシステム化 | ④ スプレッドシート | |
---|---|---|---|---|
概要 | Microsoft 365の機能を使ったリアルタイム同時編集 | 古いExcelの機能。社内サーバーなどで共有 | データベースで業務システムを構築 | Googleの無料ツールで同時編集 |
リアルタイム性 | ◎ | × | ◎ | ◎ |
コスト | Microsoft 365の契約が必要 | 追加費用なし | 開発コスト | 無料 |
機能制限 | ほぼ無し | 非常に多い | Excelとは別物 | Excelよりは少ない |
こんな場合におすすめ | 条件がそろえば一番おすすめ | クラウドが使えない環境(限定的) | データ管理を本格化したい場合 | コストをかけたくない場合 |
【方法1】Microsoft 365の「共同編集」
Excelで限定した場合、一番おすすめな方法です。この機能を利用するには、共同編集に参加するメンバー全員がMicrosoft 365のサブスクリプションを契約している必要があります。
手順
- ファイルをOneDriveに保存する
Excelを開き、[ファイル]
タブ >[名前を付けて保存]
を選択します。保存先として[OneDrive]
を選び、ファイル名を付けて保存します。 - ファイルを共有する
Excel画面の右上にある[共有]
ボタンをクリックします。共有したい相手のメールアドレスを入力し、権限が「編集可能」になっていることを確認して[送信]
をクリックします。 - 共同編集を開始する
共有された側は、メールのリンクをクリックするだけです。ブラウザまたはデスクトップアプリでファイルが開き、リアルタイムの共同編集が始まります。
メリット
- リアルタイム編集: 他の人の変更が数秒で反映され、誰がどこを編集しているかも一目瞭然。
- 安全性: ファイル破損のリスクが極めて低く、変更履歴は自動で保存されます。
- 機能制限なし: セルの結合やピボットテーブルなど、Excelの全機能を普段通り使えます。
こんな場合におすすめ
- Microsoft 365を導入済みで、その機能を最大限活用したい場合。
- 作業効率とデータの安全性を両立させたい場合。
【方法2:非推奨】旧式の「共有ブック」
注意:この方法は多くの機能制限とファイル破損のリスクがあるため、利用は推奨されません。
手順
- 機能をリボンに追加する(初回のみ)
[ファイル]
>[オプション]
>[リボンのユーザー設定]
を開きます。「コマンドの選択」で「リボンにないコマンド」を選び、「ブックの共有(レガシ)」をリボンに追加します。 - ブックを共有設定にする
追加した[ブックの共有(レガシ)]
をクリックし、「複数のユーザーによる同時編集と、ブックの結合を許可する」にチェックを入れてOKします。 - 共有フォルダに保存する
このファイルを、チーム全員がアクセスできる社内LANの共有フォルダなどに保存します。
デメリット
- リアルタイムではない: 他の人が保存するまで変更が反映されず、競合が頻発します。
- 機能制限が多すぎる: セルの結合、テーブル化、グラフ編集など、多くの便利機能が使えなくなります。
- ファイル破損のリスク: 同時保存などでデータが失われたり、ファイルが開けなくなったりする危険性が常に伴います。
こんな場合におすすめ
- セキュリティポリシー上、どうしてもクラウドが利用できず、限定的なデータ更新のみを行う場合。
【方法3】Accessでのシステム化
Excelでの管理に限界を感じた場合にファイル管理からデータ管理にするのも一つの手段です。
手順(簡易版)
- Excelからデータをインポートする
Accessを起動し、[外部データ]
タブからExcelファイルを選択してインポートします。このとき、データを一意に識別する主キーを設定することが重要です。 - 入力フォームを作成する
インポートしたテーブルを編集したり検索する入力フォーム(画面)を作成します。 - データベースを分割する(推奨)
データ本体(バックエンド)と操作画面(フロントエンド)を分け、データ本体を共有サーバーに置いて運用する事をおすすめします。
メリット
- データの信頼性: 入力ミスやデータの重複を防ぎ、情報の整合性を劇的に向上させます。
- 複数人利用に強い: 本来、複数人での同時利用を想定しており、安定した運用が可能です。
- 業務の自動化: 請求書発行やレポート作成などの定型業務をボタン一つで自動化できます。
こんな場合におすすめ
- 管理するデータが数万件を超え、Excelの動作が重くなっている場合。
- 入力ミスや表記ゆれが多く、データ集計に膨大な時間がかかっている場合。
【方法4】Googleスプレッドシート
Microsoft製品にこだわらないなら、非常に有力な方法です。
手順
- スプレッドシートを用意する
Googleドライブで新規作成するか、既存のExcelファイルをアップロードしてGoogleスプレッドシート形式に変換します。 - ファイルを共有する
画面右上の緑色の[共有]
ボタンをクリックします。共有したい相手のGoogleアカウントを入力し、権限を「編集者」に設定して送信します。
メリット
- 完全無料: 追加コストは一切かかりません。
- 手軽さ: ブラウザさえあれば、PCにソフトをインストールする必要なく始められます。
- OSを選ばない: MacやChromebookの利用者がいても問題なく共同作業ができます。
注意点(Excelからの変換時)
- 互換性の問題: Excelファイルを変換した場合、複雑なグラフや図形のレイアウトが崩れることがあります。
- 一部の関数: Excel固有の関数は、エラーになるか、意図しない結果になる場合があります。
- マクロは非対応: ExcelのVBAマクロはスプレッドシートでは動作しません。
こんな場合におすすめ
- コストをかけずに共同編集環境を構築したい場合。
- Googleフォームとの連携など、Webサービスとの親和性を重視する場合。
最適なのはどの方法?
こんな状況なら | この方法がおすすめ |
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Microsoft 365をすでに契約している | 【方法1】共同編集 |
Excelでのデータ管理に限界を感じている | 【方法3】Accessでのシステム化 |
コストをかけずに手軽に始めたい | 【方法4】Googleスプレッドシート |
クラウドが絶対に使えない特別な事情がある | 【方法2】旧式の「共有ブック」(非推奨) |